昔から心に扉がある。その扉の開け方は僕も知らない。扉の内側に入ってきた人間を5人知っているが、その入り方は実に様々であった。

 

1人目は、扉の前でとにかく面白いことばっかり言う人だった。でも、なぜか扉の中には入ろうとしない。僕の深い中の部分に入ることには興味がないようで、扉の外で面白いことばっかりしている。あんまり面白いから、自ら内側の鍵を開け、その人を入れたくなったのだ。入れたらもう出したくなくなった。入れて正解だった。

 

2人目は、扉を高く飛び越えてきた。心を固く閉ざした僕に、外の世界はこんなに楽しいんだと教えてくれた。自ら扉を開けて、外に出向くきっかけになった。扉を開けることの喜びを知った。

 

3人目は、扉をハンマーでドンドンと叩いてきた。そんな強行手段には応じまいとさらに強く鍵を閉めると、さらにドンドンと叩いてきた。そんな戦いが長く続いて、扉は壊れた。戦いに疲れ、2人は手を取り合った。

 

4人目は、扉を撫で続けてくれた。ただひたすらに撫で続けてくれた。人に愛されてることを初めて感じて、扉は自然と開いた。

 

5人目は、最初から扉の内側にいた。いや、正確には外にいたんだけれど、最初から扉の内側にいたのではないかと思うほど、よく似ていた。同じ人種に扉を閉める理由はない。扉は開いた。

 

何となく、振り返って楽しくなった。誰が新しい人が入ることはあるのかな。